分詞の形容詞的用法 - Adjectival participle
分詞の前置修飾と後置修飾
分詞は今まで見てきたように、名詞の後ろから修飾したり、前から修飾したりします。時折、
The problems encountered were relatively minor.
Computer-driven trade has affected the stock exchange.
形容詞の後置修飾でお話ししていますが、名詞を前から形容する場合、その名詞を他の名詞から切り離して限定するような「特質・性質」を表しています。
ですから、分詞が名詞の前から修飾している場合、一時的な様子「歌っている」「微笑んでいる」という意味よりも、「歌う少年」「微笑む男」とその名詞の性質を現しているのです。
この感覚を理解すると、「名詞の特質」だから前・「名詞を説明しているから後ろ」という形になる事がわかります。
There is a boy singing.
少年の説明→「歌っている少年がいます。」
There is a singing boy.
少年の性質を説明 →「『歌う少年』がいます。」
There is a man smiling at me.
「微笑んでいる男性」
These are some pictures of smiling people.
「微笑む人々」
現在分詞は名詞を後ろから説明するような場合は「〜している」という意味で良いですが、前から修飾する場合は、「〜する○○」と捉えた方が英語感覚に近いです。
下記の例に見るように、前置修飾と後置修飾に、大きな意味の差が無い場合もあれば、concerned のように大きく意味が異なる場合もあります（形容詞の後置修飾参照）。
Please bring all the required documents.
「必要書類」
Please bring all the documents required.
「必要とされている書類」
The concerned matter was under discussion in the meeting.
「憂慮事項」
The matter concerned has been resolved.
「関連事柄」
常に名詞を前から修飾する日本語では、名詞を限定する「前置修飾」と名詞を説明する「後置修飾」の感覚は身につきにくいですが、限定詞（冠詞や所有格）の感覚、形容詞の感覚が身についてくると、違いが見えてきます。
分詞の複合語
分詞が２語以上の複合語となって、名詞を前から修飾する場合があります。複合形容詞のハイフンのルール 参照
I work with English-speaking people.
Those people speak English.
She is a well-known actress.
The actress is well known.
The insurance covers job-related injuries.
The injuries are related to the job.
This is a beautifully designed dress.
The dress is beautifully designed.
作ろうと思えばいくらでも色々つくれる、この便利な仕組み。ただし、名詞の特性・性質を表しているから、前から修飾していることを忘れずに。
分詞の後置修飾
分詞が後ろから形容している場合は、形容詞節が形容詞句になったと考えると良いでしょう（形容詞句参照）。
Be quiet. There is a baby sleeping in the room next door.
Be quiet. There is a baby who is sleeping in the room next door.
Don't wake up a sleeping baby.
She gave me some apples baked with raisins and cinnamon.
She gave me some apples which are baked with raisins and cinnamon.
She gave me some baked apples.
名詞を前から修飾するのが当たり前な日本語では、前置修飾と後置修飾の意味合いの違いをつかむのは難しいです。限定詞（冠詞や所有格）の感覚を含め、形容詞の働き方に注意を向けるようにしましょう。
