冠詞と名詞のとらえ方
簡単そうで実は一番難しい、それが冠詞と名詞の関係。諦めずに一歩づつ感覚を身につけましょう。
冠詞や所有格は、限定詞と呼ばれる品詞に属します。何で「限定」詞なのかと言うと、名詞を「限定」するからです。
英語の名詞は、いつも「特定の物」なのか「一般的な物」なのか、決めてあげる必要があります。そうしないと、「心地悪い」のですね。
名詞は、固有名詞と普通名詞がありますが、固有名詞は人名やグループ名、地名等、それ以外には存在しない特定の対象を表す名詞ですから、「特定の物」を表す所有格や定冠詞を通常必要としません。
厄介なのは、普通名詞。こちらは、「特定の物」なのか、一般的な物なのか、英語はイチイチ気にするのです。
この、「特定な物」なのか、「一般的なものなのか」という日本語ではしない区別を理解する為に、桜の英語教室では、定冠詞の"the" の説明の前に、「私の〜」「この〜」と、日本語からでも掴みやすい、所有格・指示代名詞の説明から始め、冠詞の役割を説明します。冠詞が何時までたっても苦手な方は順番を試してみて下さい。
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冠詞は名詞の付属品ではなく、名詞が冠詞に付くと『日本人の英語 』の著者マーク・ピーターセン氏が言っていました。「えーと、あれ、あれ、」と言う時、"the, the, the..."と言えば、何か特有の物を思い出そうとしているし、"a, a, a..."なら一般的な名称を思い出そうとしていると。
"the"は、漠然とした物の中から特有の物を取り出すような言葉で、「どの」「名詞」なのか書き手・読み手両方がわかる時に使うのです。
と、理屈はわかっても中々身に付かないのが、この冠詞と名詞。感覚をとらえるには、まず、読む時に注意すること。
書き手が "the" で限定していれば、それは、あなたにも、その名詞が何を指しているか期待しているわけですし、ついていなければ、未述の物か、一般的な物です。
英作文の時も、常に「特定の名詞」について話したいのか、「一般的な名詞」について話したいのか、常に意識するようにすると、段々感覚が身についてきます。
英語母語の人達に、冠詞や名詞の質問をしても、熟練の英語教師でもない限り、的確な答えは返ってきません。彼らにとって、冠詞や名詞は感覚的なものすぎて、理屈で考えたことはないからです。
理屈で考えた事が無いせいか、例外も多いのが、冠詞と名詞です。例えば同じものなのに、「第二次世界大戦」"The Second World War" は冠詞付きで、"World War II" は冠詞がありません。Death Valley は冠詞無しですが、the Hudson Valley は 冠詞付きと、アメリカ人でも説明しきれない事が沢山あります。
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しつこいようですが、日本語訳している限り、冠詞と名詞の感覚は身につきません。英文は構造読みし、冠詞・名詞の使い方を常に注意するようにしましょう。
また、感覚を身につけるには聞く・話す訓練が効果的です。リピーティング練習と書き取り練習をすると、冠詞や名詞に注意が向くようになります。
いづれにしろ、まずは、冠詞と基本的な名詞の感覚を身につけ、細かい事はそれから。「覚えよう」「暗記しよう」という構え方は止めて、考えなくても出てくるようにクセ付けましょう。