仮主語・仮目的語のITと非人称代名詞のIT
仮主語・仮目的語
THAT節 を主語とする場合、通常、【IT】を主語に持ってきて、後で THAT-節で述べるという形を使います。これを仮主語のIT又は形式主語のITと呼びます。
It's sad that you couldn't come.
△ That you couldn't come is sad.
It worries me that he has some mental block.
△ That he has some mental block worries me.
It is a lie that the dogs are enemies of the cats.
△ That the dogs are enemies of the cats is a lie.
【IT】自体には、「それ」という意味はなく、THAT-節の中身が事実上の主語。文法的には2つ目の文の言い方も認められているそうですが、会話では It...that の表現が一般的です。
英語では、主語が長いと文のバランスが悪くなるので、このように【IT】を使います。
目的語が名詞節の時は、動詞の直後に置くと、目的語と目的補語の関係が見えにくくなってしまいます。
I find it strange that she wants to stay home.
x I find that she wants to stay home strange.
I think it unlikely that I’ll get the job.
x I think that I’ll get the job unlikely.
上記の例文のように、名詞節が目的語の定位置に入ってしまうと、何が strange や unlikely なのかわかりにくいですね。ですから、THAT-節を【IT】でまず受けて、後から中身を述べます。
先に述べたように、形式主語の【IT】の場合、主語が頭でっかちになる、体裁を整える為というのが、一般的な説明ですが、どうもそれだけでは無い様です。
仮主語・仮目的語の【IT】は、THAT-節だけでなく、TO−不定詞や、動名詞もとります。頭でっかちでも何でもありませんが、【IT】を使うのが一般です。
It’s impossible to get there on time.
It’s no use shouting.
I found it hard to concentrate.
What's it like being a celebrity?
話すときの思考の順で言うと、「そんなの無理だよ、定刻に着くなんて。」「どんな感じなの、有名人になるって?」という感じで、まず「無理だ」「どんな感じ」という気持ちが飛び出して、それから内容を話すという感じです。【IT】は、「後でTHAT-節で説明するからね」というよりも「漠然としたIT」に近い感覚です。
It is fun being a celebrity.
Being a celebrity is fun.
仮主語の【IT】の文は、「楽しい!有名人なのって」という感じで、「楽しい」が文の主体で、「有名人であること」は付加情報的な感じです。一方動名詞 "Being a celebrity" が主語場合、「有名人である事は楽しい」全体が伝えたい事になります。
この点に触れている文法書は見つかっておらず、どちらかというと、私と友人の会話などで持ち上がった感覚論ではありますが、ちょっと参考までに。この【IT】の存在については、もう少し探ってみたいと思います。